大腸憩室
大腸憩室とは
大腸内圧の上昇などにより、腸管壁の弱い部位から一部(粘膜・粘膜筋板)飛び出してしまう形態異常です。後天性であり、日本人では右側結腸に好発し、加齢により進展して左側結腸に増加します。近年は高齢化や食生活の欧米化に伴い、左側結腸に生じる例も増えています。大腸がんの発生とは無関係です。
ちなみに、胆石、食道裂孔ヘルニアを合併していることが多く『セイントの三徴』といいます。
原因
便秘などによる腸管内圧の上昇が関与しています。低残渣食(食物繊維の少ない食事)を多くとる人に多く、前述のように食生活の欧米化が一因となっています。
症状
憩室のみでは基本的に無症状で、大腸内視鏡検査などの際に偶然発見される場合がほとんどです。しかし合併症として憩室炎、憩室出血があり、こちらは要注意です。
1:憩室炎
腹痛、発熱をきたします。右側の大腸憩室の場合、急性虫垂炎(いわゆる盲腸)と紛らわしく鑑別を要します。
2:憩室出血
時に大量出血をし、血便がみられます。
診断法
憩室炎が疑われればCT検査をして部位の特定や、膿瘍形成(膿がたまること)や穿孔(腸に穴が開くこと)がないか確認します。出血が疑われる場合は大腸内視鏡検査で出血点を確認します。
血液検査にて炎症所見や貧血がないか調べます。
治療法
無症状で合併症がなければ治療の必要はありません。憩室出血に関しては安静・補液にて自然止血することもありますが、大量出血や持続的出血の場合、大腸内視鏡による止血や血管造影にて塞栓術(血管に詰め物をして止血する方法)が必要な場合もあります。
憩室炎も安静・補液、抗生剤の投与で改善することもありますが、膿瘍形成、穿孔、狭窄(腸が狭くなってしまう)を合併したり、憩室炎をくりかえす場合は外科的治療の適応になります。
文責 北村医院 院長 北村大介