慢性胃炎(ピロリ胃炎)
慢性胃炎(ピロリ胃炎)とは
胃が慢性的に炎症を起こし、細胞の検査では炎症細胞が浸潤していたり、固有胃腺といって胃酸などを分泌するところが委縮してしまっている状態のことです。
原因
ピロリ菌感染によるものがほとんどです(80%以上)その他、自己免疫、NSAIDs(解熱鎮痛剤)、膠原病などの全身疾患によるものがあります。
症状
胃痛、腹部膨満感、腹部不快感、嘔気、嘔吐、胸やけ、食欲不振、全身倦怠感など多岐にわたりますが、症状がほとんどない方もいます。
診断法
胃内視鏡検査により胃内の状態、ピロリ菌の有無、必要により病理組織(細胞)の検査をします。
血液検査や便でもピロリ菌は調べることができます。
治療法
ピロリ菌が確認された場合は、内服薬により除菌治療を行います。(後日、呼気試験によってピロリ菌がいなくなったか確認します)近年は抗生剤の耐性菌の増加で除菌治療の成功率は70~80%となっています。もし除菌できなかったときは抗生剤を一部変更した二次除菌を行います(再除菌率は約90%です)。
また、最近はボノプラザンという胃酸分泌薬が登場し、それを組み合わせた除菌治療は成功率が上がったとの報告があり、当院でもそちらを採用しております。
また、慢性胃炎(特にピロリ感染胃炎)で重要なことは『胃がんの発生原因であること』です。ピロリ菌感染により胃粘膜が萎縮や腸上皮化成という状態にあると胃がん発生率が高くなります。このため、胃がん検診でもこの慢性胃炎が重要視されており、ピロリ菌が確認された場合は除菌治療が推奨されております。現在日本においては、ピロリ菌の感染率低下に伴い、胃がん死亡率も低下しつつありますが、より一層検査の普及が大切だと感じております。
文責 北村医院 院長 北村大介