生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症)について
当院では生活習慣病の予防・治療に特に力を入れて取り組んでおります。患者数も年を追うごとに急増してきている実感を持っています。生活習慣病は初期の段階ほど自覚症状が出にくいため、患者さん側もつい軽く捉えがちで本当の恐ろしさに気づかれていない方が多く見受けられます。
早期ほど食生活や生活スタイルを改善することで大きな改善が期待できるものでもあります。ぜひさまざまな生活習慣病について深く知っていただき、日々のご自身の健康に対してより意識高く向き合っていただければと思います。
目次
高血圧
大きく2種類に分かれます。ひとつは本態性高血圧と呼ばれる原因不明のもの、もうひとつはホルモンの関係などによる二次性高血圧と呼ばれるものです。ほとんどの患者さんが本態性高血圧を患われています。日本では約3人に1人が高血圧と考えられおり、心臓血管病での死者の約半数は高血圧に由来するものと推定されています。
自覚症状はほとんど出ませんが、放置し続けると血管の内側の壁が傷つき、そこに血中のコレステロールなどが溜まって動脈硬化を招きます。やがて生命にかかわるような脳卒中や狭心症、心筋梗塞、心不全などを引き起こすようになります。 “サイレントキラー”という異名を持つ通り、深刻な合併症が起きるまでなかなか気づかないことが多いのがこの高血圧の恐ろしさです。
最新のガイドラインによると75歳未満では降圧目標が、収縮期血圧は130㎜Hg、拡張期血圧は80㎜Hgとされています。ご自身の値を定期的に確認して把握することはとても大切です。
治療法としては、まずは減塩を中心とした食事管理や適度な運動といった生活スタイルの見直しを軸としながら、必要に応じて薬の力を得ながら調整を図ります。薬も飲み始めると一生飲み続けないといけないわけではなく、食事や運動で改善が見込めれば減量や中止することも可能です。当院でも血圧手帳をお配りしており、ご自宅で一日2回測定していただいた数値を参考にしながら、その方にあったより良い治療法を探ってまいります。
糖尿病
糖尿病は血中に含まれる糖(血糖)が多くなる病気です。この状態が長く続くと、次第に血管を傷つけ動脈硬化の進行を早めます。全身状態に影響することで脳卒中や心筋梗塞などの動脈性硬化性疾患を招くだけでなく、腎不全による透析や網膜症による失明など多岐にわたる合併症が同時進行に次々と引き起こされてゆきます。足の血管に動脈硬化が起きた場合には壊疽(えそ)し、生命の危機が迫るほどの状態では足を切り落とすことも余儀なくされます。
初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、血液検査をした際に初めて気づき驚かれる患者さんは少なくありません。最近では若い世代の患者さんも増えてきました。糖尿病が恐れられている最大の理由は次第に進行する合併症の拡大です。
大血管障害:急激な症状が出るのが特徴かつダイレクトに生命にかかわるもの
(例)心疾患・冠動脈の病気・脳血管の障害・壊疽など
細小血管障害:じわじわと全身をむしばんでいくもの
(例)腎不全・網膜症・神経障害など
治療法として最も重要なのはやはり食事や運動療法です。まずはご自分の食生活を含めた生活スタイルを見直すことから始めます。それでも難しい場合には、併せて薬物治療も検討しながら改善を目指します。また血圧に関しても厳格なコントロールが必要です。経過が良好ならば薬を減量したり中止することも可能です。当院でも健康的な食事や運動の指導を力を入れて行っていますので、不明点や不安なことがございましたらお気軽にご相談ください。
脂質異常症
血中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に増えたり、逆に善玉コレステロール(HDLコレステロール)が減少する状態を脂質異常症と呼びます。悪玉コレステロールや中性脂肪が過剰に増えた状態が続くと、自覚症状はなくても血管を傷つけ動脈硬化を引き起こします。悪化すると心筋梗塞や脳梗塞を招きます。
基本的な治療方針としては食事と運動不足の改善です。さらに高血圧や糖尿病を合併している方はより厳しく数値を監視しなければなりません。食事や運動についてのサポートは当院でも最大限力を入れて取り組んでおりますので、不明点やお困りごとがございましたらスタッフまでお気軽にお声がけください。
生活習慣の改善は根気強く、長く続けられなければ意味がありません。患者さん自身も納得度の高い無理のない改善策を見つけ出せるように、二人三脚で強力にサポートいたします。
高尿酸血症(痛風)
プリン体と呼ばれる物質が分解されてできた老廃物が尿酸です。通常、尿酸は作られる量と体外に排出される量のバランスが一定に保たれるものです。しかしそのバランスが崩れ、血中内に尿酸が多くなっている状態が高尿酸血症という病です。尿酸の結晶(尿酸塩)が関節などに溜まると激痛を伴う発作(痛風発作)を引き起こします。しかし最も警戒すべきは腎障害や脳血管障害の合併です。
治療法としては食事の改善、生活習慣の見直し、適度な運動といったものが中心で、それでも改善が見込めない場合には薬物によるコントロールが必要となります。9割以上の患者さんが中年以降の男性というのも特徴的な病です。
生活習慣の改善についてはご家族のサポートも不可欠です。ご家族にとっても今までの生活を見直す良い機会と前向きに捉えて、ぜひ患者さんとご一緒に改善に取り組んでみてください。当院ではご家族からのご相談も広くお受けいたしております。